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【完全マスター】簿記の貸借対照表の書き方を徹底解説!損益計算書との違いも押さえておこう

「簿記の貸借対照表って何?」
「どうやって書くの?」
「注意点が知りたい」

そんなお悩みにお答えしていきます。

貸借対照表や損益計算書がややこしくて、よく分からないという方も多いはず。

実際のところ2つの資料は全く意味が異なるので、それぞれの特徴・表すものをしっかり捉える必要があるでしょう。

そこで、この記事では

  • 簿記の貸借対照表と損益計算書の違いについて
  • 簿記貸借対照表の構成と書き方
  • 簿記の貸借対照表で使う勘定科目
  • 簿記の貸借対照表作成で注意すること

と、貸借対照表について徹底的に解説します。

簿記の試験でも、貸借対照表は配点が高いのでしっかり理解して得点に繋げたいですよね。

ぜひ、この記事を参考に、貸借対照表をマスターして簿記検定合格を目指してください!

簿記におけるメインの財務諸表は2つ!貸借対照表と損益計算書の違いを解説

財務諸表とは会社の状況を報告するための書類です。貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)と損益計算書(そんえきけいさんしょ)の2つがあります。

それぞれどのような書類なのでしょうか?

  1. 貸借対照表は一時点における会社の財政状況を表している
  2. 損益計算書は一定期間における会社の営業成績を表している

1つずつ解説していきます。

1.貸借対照表は一時点における会社の財政状況を表している

貸借対照表は、決算日における財政状態が記されている決算書です。

決算の時期に貸借が一致しているかを確認するため、総勘定元帳の各勘定科目から残高を転記した試算表を作成。この試算表から「資産・負債・純資産」を抜き出し決算整理仕訳を行います。

英語ではバランスシート(Balance Sheet)といい、略してB/S(ビーエス)と呼ばれることもあるので、覚えておくと良いです。

貸借対照表が読めると企業の財政状態が健全なのか分かるため、株式投資の判断材料の1つになります。そのため、投資家や経営者には簿記の知識を持っている人が多いです。

2.損益計算書は一定期間における会社の営業成績を表している

損益計算書は収益と費用を対比して、一定期間における会社の経営成績を示す決算書です。商品やサービスを販売して得られた売上高から費用を差し引き、最終的な利益を計算します。

損益計算書から分かる利益の区分は以下の5つです。

  • 売上総利益
  • 営業利益
  • 経営利益
  • 税引前当期純利益
  • 当期純利益

これらに注目すると経営業績が読み取れます。

英語ではProfit and Loss statementといい、略してP/L(ピーエル)と呼ばれています。B/Sと混同しないように注意しましょう。

損益計算書では、費用を借方(左側)に、収益を貸方(右側)に記載します。

精算表の修正残高試算表欄からも抜き出して作成することもできますよ。簿記試験での出題方式は、後述する貸借対照表と同様の流れで回答します。

簿記貸借対照表の構成と書き方

貸借対照表と損益計算書は、財務状況と企業の業績がわかる書類です。

これらは密接に関連しており、貸借対照表の利益が増減した理由は損益計算書を見ればわかります。

この記事では貸借対照表に絞って詳しく解説していきます。

  1. 簿記の貸借対照表の構成
  2. 簿記の貸借対照表書き方
  3. 簿記の貸借対照表問題の解き方

それぞれ見ていきましょう。

1.簿記の貸借対照表の構成

貸借対照表を簡単に書くと以下のようになります。

資産 負債
純資産
  • 貸借対照表の借方(左側)…資産
  • 貸借対照表の貸方(右側)…負債と純資産

左側の資産では会社の所有する資産を表しており、右側の負債で資金の調達方法が分かります。資産と負債を大きく5つのブロックに分けると財政状態を把握しやすくなります。

資産の部
  1. 流動資産
  2. 固定資産
  3. 繰延資産
負債の部
  1. 流動負債
  2. 固定負債

上記の項目はバランスが取れていることが大切です。

貸借対照表を理解できれば企業情報を多く得られるので、株式投資や転職先選びに役立つでしょう。

2.簿記の貸借対照表書き方

貸借対照表は決算整理後の各勘定口座の残高から資産・負債・純資産」の貸借対照表項目を抜き出して作られる繰越試算表から作成その他、精算表の修正残高試算表欄からも抜粋して書き出します。

ポイントは、貸借対照表の借方の合計金額と貸方の合計金額を等しくすることです。

  • 資産=負債+純資産
  • 資産-負債=純資産

間違いがなければ上記のような式が成立します。金額が等しくならない場合は再度、資産と負債の計算を行いましょう。

3.簿記の貸借対照表問題の解き方

簿記試験では貸借対照表と損益計算書の作成が出題されます。

簿記3級では配点が高く設定されているため、しっかりと押さえておきたい範囲。簿記2級になると貸借対照表の様式が複雑になるので難しいと感じる人が非常に多いです。

簿記試験では、決算整理前残高試算表と決算整理事項等に基づいて貸借対照表と損益計算書を完成させる問題が出題されます。以下の流れで回答しましょう。

  1. 決算整理事項に基づいて決算整理仕訳を行う
  2. 決算整理前残高試算表の金額に、決算整理仕訳を加減した金額を記載する

決算整理前残高試算表に記載するときは、精算表の損益計算書欄と貸借対照表欄を転記します。後述の注意点で解説しますが、当期純利益の行は転記しません。

仕訳と精算表の書き方を理解していれば、簡単に解けるでしょう。

精算表については関連記事で詳しく解説しています。「【必勝法】簿記の精算表がうまく解けない!得点源にするための考え方・決算整理仕訳のやり方を解説」を参考にしてみてください。

【必勝法】簿記の精算表がうまく解けない!得点源にするための考え方・決算整理仕訳のやり方を解説

簿記の貸借対照表で使う勘定科目

簿記の貸借対照表を書くときは勘定科目を扱います。

勘定科目とは現金や当座預金など、お金の動きを明らかにするために記載する経理上の項目のことです

貸借対照表の「資産・負債・純資産」に入る勘定科目はそれぞれ決まっているので、覚えておくと仕訳がとても楽になります。

貸借対照表の構成を先に暗記しておくと、必要な勘定科目が覚えやすいです。貸借対照表と関連付けて勘定科目の意味も考えられるので頭に入りやすくなるでしょう。

  1. 貸借対照表の資産で使う主な勘定科目
  2. 貸借対照表の負債で使う主な勘定科目
  3. 貸借対照表の純資産に入る主な勘定科目

それぞれ1つずつ見ていきましょう。

1.貸借対照表の資産で使う主な勘定科目

資産には3つの種類があります。

  • 流動資産
  • 固定資産
  • 繰越資産

持っていると財政状況がプラスになるもので、現金に変えられる価値のあるものとして捉えておくと良いです。

①流動資産:通常の営業サイクルの中で保有する資産か1年以内に現金化や費用化できる資産

  • 現金(紙幣や硬貨など)
  • 売掛金(商品を売ったときに代金を後日受け取る約束をしたもの)
  • 短期貸付金(1年以内に返済される従業員や役員に貸し付けたお金)

②固定資産:1年以上の期間を経て現金化や費用化される資産

  • 建物(店舗、倉庫、事務所など)
  • 土地(店舗や倉庫、駐車場のための敷地など)
  • 備品(机、椅子、金庫、パソコンなど)
  • 車両運搬具(トラック、営業車など)
  • 長期貸付金(貸した現金を後日受け取る約束をしたもの)

③繰越資産:すでに支払いが完了しているが、年度を繰越して費用計上できる資産

  • 創立費(会社設立のために支払った費用)
  • 開業費(開業までに支払った費用)
  • 開発費(技術開発などにかかった費用)

上記以外にも資産で用いられる勘定科目はありますので、徐々に覚えましょう。

2.貸借対照表の負債で使う主な勘定科目

負債には、流動負債と固定負債の2種類あり、簡単に言うと借金のことです。

①流動負債:営業サイクルの中で保有する負債か1年以内に支払うことが予定されている費用や損失

  • 借入金(借りたお金を後日支払う約束をしたもの)
  • 買掛金(商品を仕入れたが、すぐに現金で払わず後日払う約束をしたもの)
  • 支払手形(取引において代金の支払いとして発行した約束手形や為替手形)
  • 未払費用(水道光熱費や支払手数料など金額が確定しているがまだ支払っていないもの)

②固定負債:1年以上後に支払うことになっている借金

  • 長期借入金(会社が金融機関や特定人から受けた融資)
  • 社債(一般の会社が発行する債券)

借入金や買掛金の項目は簿記には必須の勘定科目なので、必ずマスターしましょう。

3.貸借対照表の純資産に入る主な勘定科目

純資産とは資産から負債を差し引いた金額株主からの出資と過去からの利益が蓄積されたものです。

  • 資本金(営業を開始するための元手
  • 資本準備金(株主から集めた出資金で資本金に入れなかった元手)
  • 資本剰余金(資本剰余金の1つで将来的な支出や損失に備える積立的な役割りに当たるお金)

純資産は企業の持つ余剰資金です。大きければ大きいほど倒産しにくい体力のある企業と言えるでしょう。

簿記の貸借対照表作成で注意すること

間違った貸借対照表を作らないために、注意する点が4つあります。

  1. 勘定科目ではなく表示科目で記載する
  2. 「貸倒引当金」は資産の部にマイナスで記載する
  3. 「減価償却累計額」は資産の部にマイナスで記載する
  4. 当期純利益はそのままではなく加算して記載する

それぞれ1つずつ見ていきましょう。

1.勘定科目ではなく表示科目で記載する

損益計算書と貸借対照表は帳簿の締切り後に作成する際に勘定科目でなく、表示科目で記入します。

ほとんどの科目は勘定科目と同じですが、一部表示科目が異なるので注意しましょう。

  1. 総勘定元帳での「繰越商品」は、貸借対照表では「商品」と記入する。
  2. 総勘定元帳での「当座借越」は、貸借対照表では「短期借入金」と記入する。

貸借対照表の書き方は以下の通りとなります。

作成後は必ず左右の合計が一致していることを確認しましょう。

2.「貸倒引当金」は資産の部にマイナスで記載する

貸倒引当金は貸方に記入するのではなく、売掛金や受取手形などから控除する形で借方に表示。

売掛金は相手の会社が倒産した場合などに回収できないリスクがあるため、控除した金額が資産となります。

貸倒引当金-10万円は売掛金50万円の次の行に記載。売掛金50万円-貸倒引当金10万円=40万円が、回収が期待できる売掛金となります。

また簿記では△はマイナスという意味があるので、「△10万円」のように表現する場合もあるので覚えておきましょう。

3.「減価償却累計額」は資産の部にマイナスで記載する

減価償却累計額は貸方に記入するのではなく、固定資産から控除する形で借方に表示。

建物は基本的に価値が下がっていく資産なので、減価償却を行い価値を見直す必要があります。

減価償却累計額-3万円も同様に建物60万円の次の行に記載し、建物60万円-減価償却累計額3万円=57万円が、建物の本来の価値となります。

売掛金と建物は控除した金額で計算することを忘れずに覚えましょう。

4.当期純利益はそのままではなく加算して記載する

繰越利益剰余金は決算整理後残高試算表の金額に当期純利益を加算した金額になります。

当期純利益の繰越利益剰余金への振り替えは、決算整理後残高試算表を作成した後に実施。つまり、決算整理後残高試算表にはこの金額が反映されていないので金額を足す必要があります。

左右の金額が一致しないときに起こりやすいミスなので、問題を解く際に意識してみてください。

ぜひこの記事を参考に、貸借対照表の書き方をマスターして簿記試験に備えましょう。