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【必勝法】簿記の精算表がうまく解けない!得点源にするための考え方・決算整理仕訳のやり方を解説

「簿記の精算表って何?」
「精算表の記入の方法が知りたい」
「精算表の問題で得点したい」

そんなお悩みを解決します。

簿記の試験対策で最もキモとなるのが精算表。近年では、どの級を受験するかに関わらず、出題される傾向となっています。

特に、配点が高いため合否の分かれ目ともなりやすいのが特徴です。

そこで、今回の記事では、

  • 精算表の作成手順・ルール
  • 必要な決算整理仕訳
  • 精算表の問題を解く際のポイント

と精算表について詳しく解説していきます。

精算表の作成は一見難しそうに見えますが、コツを掴めば恐るるに足りません。

ぜひこの記事を読んで、本番の試験でも得点できるようにしましょう。

簿記の精算表とは!概要について解説

そもそも、簿記初学者がつまづきやすい「精算表」とは何なのでしょうか。

こちらでは、精算表の基本情報を詳しくみていきます。

  1. 精算表とは
  2. 精算表に関連する財務諸表
  3. 精算表問題の解答の流れ

1つひとつ確認していきましょう。

1.精算表とは

精算表とは、会社外部にリリースする決算書を作成するまでのすべての決算手続きをまとめた一覧表です。

簿記3級試験では大問第3問として出題され、配点が非常に高い重要な論点です。

実際の決算作業でも精算表を作ることで、以下のようなメリットがあります。

  • いきなり決算書を作るとミスを犯しやすい
  • 帳簿を締め切る前でも暫定的な損益が見れる
  • スピーディな経営判断に活かせる

また一般的に精算表と呼ばれるものは、8桁精算表のことが多いです。

8桁精算表とは
精算表の一般的な形。試算表・修正記入・損益計算書・貸借対照表の4つの項目欄によって構成されており、それぞれの手続きに借方・貸方があるため1つの表にまとめると8桁になる。

こちらもあわせて覚えておきましょう。

2.精算表に関連する財務諸表

精算表の作成にあたり、以下3つの財務諸表を覚えておきましょう。

  • 決算整理前残高試算表(前T/B):決算整理仕訳を入れる前の表。勘定科目別に残高が記載してある
  • 損益計算書(P/L):企業の一定期間における経営成績を表す財務諸表。収益と費用がまとまっている。こちらの入力が精算表を作る目的の1つ。
  • 貸借対照表(B/S):特定の時点において企業が保有する財産を表す財務諸表。資産・負債・純資産がまとまっている。P/Lと並んで重要な財務諸表の1つで、入力には精算表と大きく関連する。

P/LやB/Sのような会社外部に開示する財務諸表を作るために、精算表があることを改めて確認しておきましょう。

3.精算表問題の解答の流れ

精算表問題は以下の手順で解答します。

  1. 各科目の残高を集計した決算整理前残高試算表(前T/B)を作成
  2. 精算表の試算表残高欄に数値を転記
  3. 決算整理仕訳を行い、修正記入欄に入力
  4. 試算表残高と修正記入を合算してP/LかB/Sの該当欄に記入
  5. 当期純利益(純損失)を算出

作成手順はきっちり覚えて、スピーディーに作れるようにしておきましょう。

なお、基本的な仕訳のやり方については関連記事「【決定版】簿記の仕訳をマスターしたい!勉強のコツ・勘定科目の覚え方を徹底解説」にて詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください!

【決定版】簿記の仕訳をマスターしたい!勉強のコツ・勘定科目の覚え方を徹底解説

簿記の精算表作成に必要な6つの決算整理仕訳

精算表作成にあたって、どのような決算整理仕訳が必要なのでしょうか。

こちらでは、6つのパターンについて解説します。

  1. 売上原価の計算
  2. 貸倒引当金の設定
  3. 固定資産の減価償却の決算整理
  4. 消耗品の決算整理
  5. 経過勘定項目の決算整理
  6. 当期純利益(純損失)の計算

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1.売上原価の計算

売上原価とは、当期の売上にかかった仕入原価を指します。

売上原価は、下記の式で求められます。
売上原価=期首商品棚卸高+当期商品仕入高-期末商品棚卸高

例えば、期首商品棚卸高(繰越商品)が300円、当期の仕入が1000円、期末商品棚卸高が100円だった場合の売上原価は、300円+1000円-100円=1,200円となり、売上原価は1,200円といえます。

これを仕訳すると以下のように書けます。

借方 貸方
仕入 300 繰越商品 300
繰越商品 100 仕入 100

精算表で売上原価を計算する方法は複数ありますが、一般的に仕入の訂正記入欄で計算します。
仕入に期首繰越商品分300円を加算して、期末の繰越商品分を減らします。

売上原価の計算は、精算表の作成問題では、出題される可能性が最も高いので、ぜひマスターしましょう。

2.貸倒引当金の設定


売掛金と受取手形に貸倒引当金を設定します。

例えば、売掛金と受取手形の合計が6000円だった場合を考えてみましょう。そこに、2%の貸倒引当金を設定したら、貸倒引当金の金額は6000円×2%=120円です。
残高試算表に貸倒引当金の残高30円がある場合は、差額の90円を修正記入欄に計上して、貸借対照表の貸方に120円を記入します。

貸倒引当金の設定を仕訳で表すと以下のような感じ。

借方 貸方
貸倒引当金繰入 90 貸倒引当金 90

設定した時は、貸倒引当金繰入という勘定科目が登場です。要素は、費用に分類されます。

貸倒引当金の設定もよく出題されるパターンなので、きっちりと押さえておきましょう。

3.固定資産の減価償却の決算整理

建物や10万円以上の備品など減価償却の対象になる固定資産を保有している場合は、ルールに従って減価償却費を計上できます。

減価償却には主に以下の3つの算出方法があります。

  • 定額法
  • 定率法
  • 生産高比例法

最近では、定額法を使用する事が多いです。定額法は、固定資産の価値が毎年同額ずつ減るとする考え方のことで、減価償却費を取得価額を耐用年数で割って求められます

例えば、取得価額が5,000円で耐用年数が25年の建物を保有している場合、当期の減価償却費は5,000円÷25年=200円です。

これを仕訳すると以下の感じ。

借方 貸方
減価償却費 200 減価償却累計額 200


減価償却費は、費用に該当し、修正記入と損益計算書の借方に記入します。一方、マイナスの「資産」にあたる減価償却累計額は貸借対照表の貸方に書きます。

減価償却の計算で注意しないといけないのが、期中で固定資産を取得した場合です。このケースでは、月割計算で減価償却費を求めます。

4.消耗品の決算整理

いずれかの条件に当てはまっている場合、消耗品として扱います。

  • 取得価額10万円未満
  • 耐用年数1年未満の固定資産

また、消耗品に2通りの仕訳方法があります。

  • 購入時に「資産」として計上する方法
  • 購入時に「費用」として計上する方法

いずれの方法を用いても、当期中に使った分だけを消耗品費として計上する必要があります。そして、残った消耗品は資産です。

例えば、消耗品を現金1,000円で購入していたとしましょう。

消耗品を資産として計上する場合、仕訳は以下のように表せます。

借方 貸方
消耗品 1,000 現金 1,000

消耗品という、資産の勘定科目を使います。

さらに、期末において300円分が未使用だった場合の仕訳は以下のような感じ。

借方 貸方
消耗品費 700 消耗品 700

消耗品は翌期に繰り越されるため、当期に使用した費用700円分を消耗品費として計上。

一方、消耗品を費用として計上する場合は以下の仕訳で書き表します。

借方 貸方
消耗品費 1,000 現金 1,000

消耗品費の勘定科目を使います。

期末で300円分が未使用の場合は、以下のように仕訳が書けます。

借方 貸方
消耗品 300 消耗品費 300

最初は費用として計上していましたが、決算時の未使用分は資産として計上します。

5.経過勘定項目の決算整理


簿記では、「費用」と「収益」について当期に発生した部分と翌期分をきちんと分けて計上する必要があります。
例えば、会計年度1~12月の事業者が11月に現金1,000円を年利率3%で貸し付けて、利息は1年後の返済時に受け取る契約をしたケースを考えてみましょう。

11月と12月分の利息は当期分の「収益」ですが、まだ受け取れていません。当期の受取利息は、1,000円×3%×2ヶ月÷12ヶ月=5円。

貸付金1,000円は、資産の要素に該当するので、貸借対照表の借方に記入します。当期分の「収益」にあたる受取利息4円は試算表の残高と合算して損益計算書の貸方に記入すること。未収利息5円は資産なので、貸借対照表の借方に書きましょう。

仕訳をすると以下のように表せます。

借方 貸方
未収利息 5 受取利息 5


経過勘定科目は資産と負債に分類できます。

  • 資産:前払費用・未収収益
  • 負債:前受収益・未払費用

とても重要なので必ず覚えておくようにしましょう。

6.当期純利益(純損失)の計算

当期純利益または当期純損失とは、損益計算書の貸方合計と借方合計の差額で出せます。

プラスだった場合は損益計算書の借方、マイナスだった場合は貸方に数字を記入すること。マイナスの場合の勘定科目は当期純損失と名前が変わるので注意が必要。

当期純利益は当期に増えた「純資産」を表すものでもあるため、プラスの場合は貸借対照表の貸方、マイナスの場合は借方に同じ数字を記入します。

当期純利益および当期純損失の算出は必ずできるようにしておきましょう。

簿記の精算表の問題を解くときの4つのポイント

精算表の問題が解くときは、どのようなポイントがあるのでしょうか。

こちらでは、4つについて解説します。

  1. 解けそうな問題から解く
  2. 解き終わった問題を明確にする
  3. 転記ミスを減らす工夫をする
  4. 最終合計を無理して計算しない


それぞれ詳しく見ていきましょう。

1.解けそうな問題から解く

簿記の試験に限ったことではありませんが、自分の解ける問題や分かる問題から解くようにましょう。順番に解かないいといけないわけではありません。時間が足りなくて解けるはずの問題も解答できなかったら、非常にもったいないです。

1点でも多く得点して、合格するためにも、なるべく多くの問題を解くように心がけましょう。

2.解き終わった問題を明確にする

問題を解き終わった箇所には線を引いたり、印をつけたりするなどして、解いていない問題と分かりやすく区別しておきましょう。

時間との勝負である簿記の試験では、どこを解いたのかわからなくなって同じ問題を読み返すのはタイムロスです。特に、簿記の問題文は見た目からして読みにくい特徴があります。正確に文章を読み取る工夫が必要とされます。

3.転記ミスを減らす工夫をする

転記する場所がわかっているのに、誤ってしまうことによって失点してしまう人も多いです。書く場所を間違えて点数を落とすことほど、悔しいものはありません。

正しい場所に転記するためにも、下書き用紙などを使って間違いを防ぐようにしましょう。そうすることでケアレスミスを減らせます。

4.最終合計を無理して計算しない

他の問題の時間配分を考えていくと、精算表問題に割ける時間が限られてきます

目安の時間を超えてまでも、最後の合計値を解答しようとするのはやめましょう。そこを頑張って求めても正解する可能性は低く、大きな得点になる可能性は低いです。それ以上に、他の問題を焦らずに解く時間にあてた方が得点につながります。

時間配分を意識して一旦は他の問題に進み、時間が余ったら戻ってくるスタンスで行くようにしましょう。

ぜひこの記事を参考に、精算表の作成方法や解き方のポイントを理解し、合格を目指しましょう。