「商業簿記って何?」
「商業簿記って難しい?」
「商業簿記における勉強のコツが知りたい」
「商業簿記で得点したい」
2級の商業簿記は「3級で学習した内容の延長線」とか「とりあえず暗記すればOK」と思う人も多いのではないでしょうか。
しかし、上記のような単純な話ではありません。2級から新たに登場する論点があったり、元々1級の試験範囲が含まれたりしています。
また、難易度が上がってきているため、戦略を立てて勉強しないと、合格は難しいです。
では、どのように勉強すれば得点につながるのでしょうか?
そこで、今回の記事では、
- 商業簿記の概要
- 商業簿記が難しいと感じる理由
- 商業簿記の勉強方法
- 商業簿記の勉強のコツ
- 【大問別】商業簿記の対策方法
と、2級の商業簿記の勉強方法や、コツについて解説していきます。
ぜひこの記事を参考に、本番で得点できるよう学習に活かしましょう!
Contents
簿記2級の商業簿記とは!概要をサクッと解説
2級の商業簿記の試験範囲や勉強時間について、気になる人も多いのではないでしょうか?
こちらでは、3つのポイントについて解説していきます。
- 商業簿記ってそもそも何?
- 試験範囲
- 目安となる勉強時間
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.商業簿記ってそもそも何?
商業簿記とは、商品を売買する商業経営を対象とした簿記です。
主に、企業外部との取引を、計算し記録する業務。利害関係者に対して、適切で正確な決算書の作成力が求められます。
商業簿記では、以下のポイントを押さえましょう。
- 簿記検定3級は全て商業簿記
- 製造業以外の多くの業種に当てはまる
- 一般的な取引を扱うのが商業簿記
商業簿記の定義を覚えるよりも、工場を中心に扱う工業簿記以外の内容と覚えましょう。
2.試験範囲
5つの大問のうち、第1問〜第3問で出題されます。全体の60%分の配点なので、ウエイトが高いです。
試験範囲については、以下のものが挙げられます。
- 現金預金
- 電子記録債権
- 有形固定資産
- 無形固定資産
- のれん
- 資本金・利益剰余金
- 株主資本変動計算書
- 剰余金の配当
- 外貨建取引
とにかく商業簿記では「広く浅く出題される」がキーワードです。試験範囲が3級より広く、様々な範囲から出題されるので注意が必要。
さらに、数年単位で改訂がかかることが多いです。実際に、2021年度の試験も変更点があり、2022年度の試験も範囲の変更が決定しています。そのため、受験前には日本商工会議所のホームページをチェックしておきましょう。
3.目安となる勉強時間
商業簿記の勉強時間の目安としては、最低でも約125時間必要です。
2級では3級とは比較にならないほど、覚える内容が多数あります。時間を割かなければ、間違いなく学習が間に合いません。そのため、2級の学習時間の目安である、約250時間の半分の時間を商業簿記に使いましょう。
注意点として、3級の知識がない状態では、さらに時間が必要です。独学や通信などの学習形態によっても、必要とされる時間は異なります。
簿記2級は長期的な学習が必要なため、余裕を持って取り組みましょう。
簿記2級の商業簿記が難しいと感じる2つの理由
2級の商業簿記が難しい根拠について、気になる人も多いのではないでしょうか?
こちらでは、以下2つの理由について、解説していきます。
- 範囲が広いから
- 元々1級だった内容が含まれているから
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.範囲が広いから
範囲の広さは、難しく感じさせる要因の1つです。3級から上がってきたり、新たに追加されたりした範囲がたくさんあります。そのため、学習手順が分からない人も多いです。
簿記3級から2級の範囲に変更になった論点は、以下の通りとなっています。
- 手形の割引、手形の裏書
- 有価証券の取得、売却
- 受取配当金
- 有価証券利息
- 現金実査(配当金領収書と債券の利札)
- 減価償却の直接法
また、3級の範囲追加にともなって、2級に追加された範囲は以下の通りです。
- 決算整理後残高試算表
- 貯蔵品棚卸(切手、収入印紙の実査)
- 当座預金、預貯金(複数の口座を開設する場合)
- 差入保証金(店舗を借りたときの敷金など)
- 役員貸付金
- 役員借入金
- 諸会費
2級は勉強すべき項目が多いので、計画的に学習しましょう。
2.元々1級だった内容が含まれているから
1級は簿記の中でも最難関の資格と言われ、難しい論点が多いのが特徴。
1級から2級に変更になった範囲は以下の通りです。
- リース取引
- 連結会計
- 圧縮記帳
- 外貨建取引
- 製造業を含む会社の決算処理
- 税効果会計
- クレジット売掛金
どの単元も受験生にとって頭を抱えるものばかりです。あまりにも難易度が高いと感じるのも無理はありません。
そのため、2級の論点や3級から移動してきた論点よりも多くの時間が必要です。繰り返しテキストを読み、何度も問題を解き直しましょう。
簿記2級の商業簿記における勉強方法4選
正しい勉強方法で行うことが、2級の商業簿記では特に大切です。最適な勉強方法がわからず、悩んでいる人も多いのではないでしょうか?
こちらでは、2級の商業簿記の学習方法について、以下4つの内容にて解説していきます。
- テキストを読む
- 取引の仕訳を頭に入れる
- 過去問を解く
- ミスの傾向を知る
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.テキストを読む
テキストを何回も読み込み、記憶に定着させましょう。
商業簿記は丸暗記する試験ではないので、テキストで流れを掴みます。繰り返し読み、2級の範囲に慣れましょう。最低でも3回は読みなおし、次のステップに進んでみてください。
しかし、学習に時間をかけられない社会人は多いです。そのため、テキストを利用しスキマ時間を活用します。電車での通勤時間や病院の待ち時間などに、テキストを何度も読みましょう。電子書籍の利用で、持ち運びにも困りません。
スキマ時間の活かし方は、合格に必要な要素の1つです。テキストを繰り返し読みなおし、理解を深めましょう。
2.取引の仕訳を頭に入れる
基本的な取引は完全に覚える必要があります。仕訳ができなければ、全ての問題が解けません。1つ1つの仕訳を考えていては、試験時間も足りなくなります。
また、3級より複雑で特殊な取引に対しては、その場で考える力も重要です。
2級で新たに取り扱われる論点は、以下の通りとなっています。
- 割戻、割引
- 棚卸減耗損、商品評価損
- 不渡手形
- 子会社株式、関連会社株式
- 会社設立時の処理
3級ではあまり聞いたことのないような範囲も多いでしょう。
これらの処理はいずれも基本となる取引の仕訳を頭に入れておくことが最重要。過去問に挑む前には、必ず暗記をしましょう。
3.過去問を解く
テキストの内容をインプットしても、すぐにアウトプットしなければ意味がありません。そのために、得た知識を素早くに引き出す訓練が、必要不可欠です。
訓練に最適なツールは過去問です。実際に出題された問題なので、実践力が身につきます。
過去問演習の際は、本番を想定して時間の計測・時間配分の確認をしましょう。また、試験では以前に出題されたよく似た問題が、出題されることも可能性として十分にあります。
過去問に慣れておけば、本試験の問題も解きやすいでしょう。
4.ミスの傾向を知る
自分が犯しやすいミスの傾向を知ることも重要です。
理由として、つまずきやすい論点を把握することで、知識が足りない箇所に絞って勉強できます。
たとえば、計算問題でミスが多いなら、そこを中心に復習が可能。仕訳問題が間違えている場合は、勘定科目の暗記に力を入れます。
また、間違えた箇所はメモをしておき、集中的に勉強しましょう。
簿記2級の商業簿記における勉強のコツ2選
勉強のコツを知ることは、合格に近づくために大切です。コツを知り、効率よく学習したい方も多いのではないでしょうか?
こちらでは、以下2つのポイントについて解説していきます。
- とにかく仕訳を暗記する
- 満点を狙おうとしない
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.とにかく仕訳を暗記する
仕訳の暗記を徹底しましょう。2級の商業簿記では、税効果会計・連結会計といった、難解な論点が追加されます。
また、3級で扱った論点より深い内容へと発展し、学ぶことが格段に増加。多くの受験生を悩ませます。
しかし、商業簿記の基本は仕訳。極論を言えば、全て仕訳を切れれば、後は集計すれば基本的に問題を解けます。
仕訳を暗記する方法は、ひたすら反復するのみです。
もちろん1つ1つの仕訳を理解することも大切です。しかし、理屈を考えずにルールを繰り返し暗記することが、商業簿記の実力をつける近道。変に理由を考えないで、とにかく覚えることを最優先しましょう。
2.満点を狙おうとしない
満点ではなく合格点を狙うことが大切。商業簿記は工業簿記に比べ、範囲が広いです。1級から2級に変更された試験範囲もあるため、100点のハードルも高まっています。
そのため、全範囲を隅から隅まで勉強するのは、非現実的でしょう。
完璧主義な人ほど「100点を狙わないといけない」という罠に陥りがちです。しかし「8割を取るために必要な勉強時間」と「8割を10割にするための勉強時間」は、同じと言われています。(パレードの法則)
そのため、満点を目指すのは非常に費用対効果が悪いです。完璧主義ではなく、最善主義のスタンスで試験に臨みましょう。
【大問別】簿記2級の商業簿記の対策について解説
商業簿記が出題される、第1問〜第3問のそれぞれの対策の講じ方について、知りたい人も多いのではないでしょうか?
こちらでは、大問ごとに解説していきます。
- 第1問対策
- 第2問対策
- 第3問対策
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.第1問対策
最初の大問は仕訳問題を5問出題されます。配点は1問4点で合計20点です。
「仕訳を制する者が簿記2級を制する!」という格言があるくらい仕訳は重要。テキストを理解するよりも問題演習を何度も解くことに重点をおきましょう。
問題文から取引内容が、瞬時に把握できるまで繰り返し復習するのが重要です。
また、仕訳問題で出題されたパターンとして、以下が挙げられます。
- 仕入割引
- 売上割戻
- クレジット売掛金と消費税
- 会社の合併
- 有価証券の購入・売却
- 固定資産の購入・売却
- 電子記録債権の譲渡
- ソフトウェアの取得
- 新株の発行(設立時・増資時)
- 外貨建取引(為替予約)
- サービス業
日頃から論点を理解し、何度も訓練して仕訳を切れるようにしておき、ぜひ高得点を狙いましょう。
2.第2問対策
第2問では特定のテーマを扱う個別論点問題が出題されます。配点は20点です。
過去3年分で出された内容について、以下の表を確認してみてください。
回 | 出題内容 |
第156回 | 有価証券 |
第154回 | 商品売買 |
第153回 | 理論選択問題 |
第152回 | 当座預金勘定調整表 |
第151回 | 株主資本変動計算書 |
第150回 | リース取引 |
第149回 | 外貨建取引 |
第148回 | 有価証券 |
※第155回はコロナウイルスのため中止
出題方法については、勘定記入させたり、計算書を完成させたりと様々。また、複数の論点を理解できているかを選択問題で問うパターンもありました。
論点をきっちりと押さえられていれば、商業簿記の中でも得点しやすい大問なので、ぜひ力を入れて対策しましょう。
3.第3問対策
第3問は総合問題が出題されます。配点は20点です。過去3年では、以下の問題が出されたので、ぜひ確認しておきましょう。
回 | 出題内容 |
第156回 | 連結貸借対照表 |
第154回 | 損益計算書 |
第153回 | 連結精算表 |
第152回 | 貸借対照表 |
第151回 | 連結精算表 |
第150回 | 貸借対照表 |
第149回 | 損益計算書 |
第148回 | 連結精算表 |
※第155回はコロナウイルスのため中止
表や報告書の作成問題が出ており、総合力が試されます。精算表や財務諸表の書き方は必ず押さえましょう。また、近年の傾向として連結会計が出題されがちなので、特に時間をかけて学習しましょう。
第3問は難易度が高い問題が出る確率が高いです。そのため、試験本番で解く時は最後に回すのが無難。また、配点の箇所は公表されていないので、正確にコツコツと仕訳をして計算することを心がけましょう。
ぜひこの記事を参考に、本番で得点できるよう学習に活かしましょう!