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【5分でわかる】しーくりくりしー(仕入・繰越商品)とは!いつ・どこで・どうやって使うのか詳しく解説

「しーくりくりしーやしくりくりしってなに?」
「仕入や繰越商品の計算ってどうやるの?」
「売上原価を求めたい」

そんなお悩みを解決します。

「しーくりくりしー」とは、受験する級に関係なく決算整理仕訳で出てくる重要な内容です。

試験で精算表を作成する問題が出題されれば、使う可能性が極めて高い内容となっています。

とはいえ「しーくりくりしー」について聞いたことがあるものの、深く理解できておらず説明できない人も多いのではないでしょうか?

そこで、今回の記事では、

  • しーくりくりしーとは
  • しーくりくりしーの基本情報
  • しーくりくりしーを理解するのに必要な勘定科目
  • しーくりくりしー以外の試験対策

と、しーくりくりしー(仕入と繰越商品)について解説します。

ぜひ、この記事を参考に、内容や考え方について理解を深め、簿記合格に近づきましょう。

しーくりくりしーとは!例題の解答からサクッと解説

例えば、以下の問題について考えてみましょう。

当期の仕入値は20,000円であった。期首商品棚卸高が6,000円、期末商品棚卸高が2,000円のときの売上原価は?

そもそも期首商品とは、前期に繰り越されてきた商品で、期末商品は当期に仕入た商品のうち売れ残った商品のことを指します。

この問題の場合、仕訳をすると以下の通りです。

借方 貸方
仕入 6,000 繰越商品 6,000
繰越商品 2,000 仕入 2,000

「仕入 繰越商品 繰越商品 仕入」の順で仕訳が行われています。頭文字を取ると「しーくりくりしー」で、試験用の覚え方として有名です。

「しくりくりし」「しっくりくりしー」のように呼ばれる場合もあるので、分かりやすいもので覚えましょう。

上側の仕訳の「しーくり」の部分は、期首商品を当期の仕入に組み込んでいます6,000円分の期首商品という資産を減少させて、仕入という費用を増加させた結果、期首商品原価は当期仕入に含まれました。

一方、下側の「くりしー」の部分は、期末商品を当期の仕入から抜いています2,000円分の期末商品という資産を増加させて、仕入を減少させた結果、期末商品原価が当期仕入から差し引かれた状態です。

最終的には、当期の仕入値+期首商品棚卸高ー期末商品棚卸高で売上原価を出します。

ぜひ、しーくりくりしーの概要についてきっちりと理解しておきましょう。

しーくりくりしーの基本的な解答方法

しーくりくりしーの答え方について知っておく必要があります。

こちらでは、4つの解答方法について解説します。

  1. 目的は売上原価を算出すること
  2. 期首と期末の商品残高が分かれば解答できる
  3. 決算整理仕訳で入れる
  4. 本試験では精算表問題に含まれることが多い

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1.目的は売上原価を算出すること

最終ゴールは売上原価の算出です。三分法で売上原価を仕入勘定で計算するため、しーくりーくりしーが必要になります。

三分法とは「仕入」「売上」「繰越商品」3つの勘定科目を使って処理することです。

三分法以外にも、売上原価の算出方法は2つあります。

  • 分記法:商品と商品売買益の2つの勘定で処理
  • 売上原価対立法:仕入れ時は商品の増加で処理したあと、売り上げ時に商品から売上原価に振り替えて処理

三分法を用いると記帳が楽に行えるメリットが魅力的です。しかし、売上原価を求める計算が必要になってしまうデメリットもあります。

売上原価は企業の規模に関係なく、当期の損益を算出する際に必要です。三分法を用いた場合、売上原価を算出するにあたって「しーくりくりしー」が重要となっています。

2.期首と期末の商品残高が分かれば解答できる

しーくりーくりしーについては至って簡単。期首および期末の商品在庫さえ分かれば答えは瞬時に導けます。

回答手順は簡単3ステップです。

  1. 期首商品棚卸高:仕入の貸方・繰越商品の借方にそれぞれ記入
  2. 期末商品棚卸高:繰越商品の貸方・仕入の借方にそれぞれ記入
  3. 修正結果をベースに損益計算書へ記帳

記入する順番を変えただけと考えると分かりやすいですね。

3.決算整理仕訳で入れる

決算整理仕訳を行う際は、期首商品棚卸高→期末商品棚卸高の順番に修正記入するとスムーズに行えます。

期首商品棚卸高が300円、期末商品棚卸高が500円の場合は以下の通りです。

借方 貸方
仕入 300 繰越商品 300
繰越商品 500 仕入 500

この仕訳は決算整理仕訳として活かされます。

4.本試験では精算表に含まれることが多い

実際の試験では第3問で精算表作成問題にて、しーくりくりしーを利用することが多いです。

精算表作成問題では主に2つの事項が登場します。

  • 未処理事項
  • 決算整理事項

しーくりくりしーに関しては特に後者のパターンで使用します。

配点の箇所は公表されていませんが、決算整理事項の項目は得点になる可能性が高いです。出題されたら「しーくりくりしー」と頭の中で思い出しつつ、問題を解きしましょう。

しーくりくりしーを理解するために必要な3つの用語について解説

しーくりくりしーの内容をきっちりと理解するにあたり、最低限の単語は押さえておかなければなりません

こちらでは、しーくりくりしーを理解するために必要な、3つの用語について解説します。

  1. 仕入とは
  2. 繰越商品とは
  3. 売上原価とは

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1.仕入とは

仕入とは、販売や製品化のために商品や材料などをメーカーや卸売業者から購入することです。

そのようにして物品を買った場合、会計帳簿に「仕入」という勘定科目を使って費用の計上を行います。つまり、「仕入高」は簿記・会計処理としては勘定科目のひとつです。

仕入は、あくまで当期の金額であることも押さえておきましょう。

2.繰越商品とは

繰越商品とは期末にまだ販売していない商品(在庫)の金額を表す勘定科目です。

特に繰越商品は決算時の重要な要素。最終目的である売上原価の算出に影響が出てしまうためです。

仮に、期首にも期末にも商品在庫がなかったとしましょう。その場合、1年間に仕入れた商品は全部販売されたということなので、当期の仕入と売上原価は等しいです。

しかし、在庫があれば、期末に残った商品を仕入の費用から除く必要があります。仕入と売上原価の値が等しくならないため、残っている在庫を費用ではなく次期に繰り越す商品とします。

この処理をする時に使う勘定科目が繰越商品です。

3.売上原価とは

売上原価は当期に販売した商品の仕入原価のことです。当期の仕入=売上原価ではない点に注意。

仕入が当期に購入した金額であるのに対して、売上原価は売上に対する原価である点は押さえておきましょう。そのため、当期に仕入れ販売せず在庫として残ったものは売上原価にはカウントしません

そのため、会計上では損益計算書の費用に計上されます。当期に販売した商品の仕入代価が売上原価と考えると良いですね。

しーくりくりしー以外に覚えておきたい試験対策

簿記を受験するにあたって、しーくりくりしー以外にも覚えておきたい試験対策があります。

こちらでは、重要な試験対策について、以下5つの項目で解説します。

  1. 仕訳のやり方をマスターする 
  2. 電卓の操作に慣れる
  3. 精算表の解答方法を身につける 
  4. 他の決算整理仕訳も覚える
  5. 試験直前の過ごし方を知っておく 

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1.仕訳のやり方をマスターする

簿記ではとにかく仕訳が命です。仕訳ができなければ簿記合格は不可能と言っても過言ではありません。

なぜなら、仕訳を使わずに解ける問題は非常に少ないためです。そのため、仕訳をマスターすれば全体的に点数も上がり合格に近づきます。

5つの会計要素の変動を記録するだけのため、単純のように感じる方も多いです。しかし、一朝一夕で身に付くほど、仕訳の学習は簡単ではありません。

繰り返し訓練して、スラスラと解ける状態にしましょう。

仕訳については、関連記事「【決定版】簿記の仕訳をマスターしたい!勉強のコツ・勘定科目の覚え方を徹底解説」にて詳しく解説しています。仕訳方法や勉強のコツについても詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください!

【決定版】簿記の仕訳をマスターしたい!勉強のコツ・勘定科目の覚え方を徹底解説

2.電卓の操作に慣れる

簿記を受験するにあたって、電卓操作をマスターすることは重要です。

2021年の試験から試験時間短くなり、時間に余裕がなくなりました。電卓操作をマスターすることで、時間短縮でき問題回答に集中できます。

また、電卓は種類よって性能が大きく異なります。100均で売っている普通電卓では機能が足りないため、実務電卓を選びましょう。

どれを買えばいいか分からない方におすすめの実務電卓は、カシオ製のJS-20WK-Nがおすすめです。学生から実務、家庭と幅広く使用できます。

電卓操作については関連記事「【これでマスター】簿記の電卓の使い方を徹底解説!左手打ちがおすすめな理由・練習方法を紹介」にて詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください!

【これでマスター】簿記の電卓の使い方を徹底解説!左手打ちがおすすめな理由・練習方法を紹介

3.精算表の解答方法を身につける

精算表は以下の4つの欄によって構成されています。

  • 試算表欄:決算整理前の残高を記入する
  • 修正記入欄:決算整理仕訳の金額を記入する
  • 損益計算書欄:費用は借方・収益は貸方に金額を記入する
  • 貸借対照表欄:資産は借方・負債は貸方に金額を記入する

未処理事項や決算整理事項などの期末修正事項は必ず修正記入欄にて記入することも知っておきましょう。修正記入欄への記入を行なってから、損益計算書や貸借対照表の欄を記入するとミスを減らせます。

それぞれの欄の記入方法については、必ず押さえきましょう。

精算表については関連記事「【必勝法】簿記の精算表がうまく解けない!得点源にするための考え方・決算整理仕訳のやり方を解説」にて詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください!

【必勝法】簿記の精算表がうまく解けない!得点源にするための考え方・決算整理仕訳のやり方を解説

4.他の決算整理仕訳も覚える

しーくりくりしー以外の決算整理仕訳も定番なのできっちりと押さえておきましょう。

例えば、主に以下のようなパターンが挙げられます。

3級・2級共通 3級のみ 2級のみ
貸倒引当金の設定 現金の決算整理 当座預金残高の修正
有形固定資産の減価償却 貯蔵品の決算整理 無形固定資産の減価償却
経過勘定の決算整理 当座借越の振替 有価証券の評価替え

紹介した決算整理仕訳はあくまでも一部なので、他にもあります。しっかりと内容を理解し、パターンを押さえておくとすぐに得点につながりますよ。

ぜひ、他の決算整理仕訳についても押さえておきましょう。

5.試験直前の過ごし方を知っておく

どうしても学習内容ばかりに注目してしまいますが、直前期の過ごし方は本番当日のパフォーマンスを左右すると言っても過言ではありません。

例えば、過去問題や模擬問題を解いたり間違った問題のみを重点的に効率よく復習したりすることで弱点を克服。前日は持ち物や交通手段の確認を行い、体調も万全にしておくことが重要です。

試験直前の過ごし方については関連記事「【これで安心】簿記の試験直前期の勉強法3選!前日確認のやり方や当日の過ごし方を紹介」にて詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください!

【これで安心】簿記の試験直前期の勉強法3選!前日確認のやり方や当日の過ごし方を紹介

ぜひ、この記事を読んで、しーくりくりしー(仕入と繰越商品)について理解を深めて、試験で合格を目指しましょう!